開発学や環境学を学ぶためにイギリスの大学院に進む方多いと思います。
そこで今回はリーズ大学のMSc Enviroment and Development で学ぶ私が、これからSustainability系のイギリス修士課程に進まれる方向けに、渡航前に読むべき最重要文献(超基本論文)を5つご紹介します。
ですが、リーディングは修士課程に正式に入学されたらいやというほど読まされます。なので今回は導入程度で時間かからずさくっと読めるもの(本一冊などは避け論文やレポート、、、といいつつ四つ目だけすいません本です笑)なおかつ事前に知識入れとくとすごく役立つ文献を私なりにピックアップしています
イギリス大学院進学後に一回は読まされる文献であり、毎週複数回はどこかで引用されているのを見る論文から選びました。エッセイ書く際にもイントロなどでかなり役に立つ文献です。
もしかしたらもう学部時代などに読んだ方もいるかもしれませんね。
イギリス大学院で環境学・開発学専攻学生が読むべき文献①
WECD. 1987. Our Common Future
環境学・開発学専攻のイギリス修士生が読むべき文献一つ目は『Our Common Future』というレポートです(※Part1の第二章だけで十分)。1987年に国連の環境と開発に関する委員会(World Commission on Environment and Development : WCED)が出したレポートで、当時の議長の名にちなんで通称Brundtland Reportと呼ばれています。
これはもう位置づけとしては大御所といった感じでしょうか。このレポートはSustainable development とは何かを初めて定義したレポートとして知られ、この報告をきっかけにSustainable developmentという言葉が定着されたといわれています。
超重要かつ基本的な論文でありおそらくイギリス大学院で環境学・開発学を専攻している修士生のほとんどが第一週目に読まされるレポートと思います。
関連分野の論文を読んでいてもかなりの確率で引用されている論文で、2日に一回は見ます(大げさではありません)
このレポートすごく長いですが、重要なのはPart1の第二章です。全部読む必要はないですが、第二章の内容は頭に入れておきましょう。Sustainable development とは何かの基本的な定義がなされています。そして批評できるようになっておきましょう(これ重要です!!)
文献はこちらから (国連が添付したPDFに飛びます。)
イギリス大学院で環境学・開発学専攻学生が読むべき文献②
IPCC. 2018. Special Report: Global warning of 1.5 ºC
環境学・開発学専攻のイギリス修士生が読むべき文献二つ目はIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)が2018年に発表したスペシャルレポートのです。
このレポートも全部読むと長いですが、ポリシーサマリーだけで十分でしょう。本報告書はパリ協定の1.5℃目標に触れながら、残されたカーボンバジェットのシナリオなどをシュミレーションしています。
各国政府が現在このIPCCレポートをもとに環境政策を立てており、基幹となる非常に重要な論文です。イギリス大学院でも環境学や開発学を専攻していれば必ず読むレポートです。
文献はこちらから (IPCCのHPに飛びます。)
イギリス大学院で環境学・開発学専攻学生が読むべき文献③
Rockström, J et al. 2009. A safe operating space for humanity. Nature. 461, pp. 472–475.
環境学・開発学専攻のイギリス修士生が読むべき文献三つ目は「Planetary boundary」という重要概念を唱えた、スウェーデン人の研究者ロックストーム氏の論文です。
この「Planetary boundary」という概念ですがイギリス大学院の授業でよく出てきます。特に環境系の修士生は毎週何回も耳にすることでしょう。
地球環境問題を9つ(Climate changeやOcean acidification)に分け、それぞれ科学的分析によって安全圏にあるか、それとも閾値を超えてしまっているかという分析をしたものです。
地球環境問題を測る一つの重要な指標として注目されておりTEDなどにもロックストーム氏が出ているので是非見てみてください!
文献はこちらから (Nature誌に飛びます。)
イギリス大学院で環境学・開発学専攻学生が読むべき文献④
Raworth, K .2017. Doughnut Economics: Seven Ways to Think Like a 21st-Century Economist
環境学・開発学専攻のイギリス修士生が読むべき文献四つ目は『Doughnut Economics』を唱えたケイト・ラワース氏の本です。英語の本で長すぎるという方は、日本語でも『ドーナツ経済学が世界を救う』というタイトルで翻訳されているので見てみてください。
このドーナツ経済は先ほどの「Planetary boundary」と融合された概念です。「Planetary boundary」はドーナツの外側に環境を要素を描いたものですが、ドーナツ経済学はドーナツの内側に社会指標(腐敗指数や格差などの指標)などを取り入れ社会指標・環境指標どちらも"ドーナツ"にとどまるようにしようと提唱しています。
環境面と社会面どちらも両立していこうという概念です。
この概念もイギリス大学院の授業でよく出てきます。比較的新しい考え方ですがSustainability系(開発学・環境学)専攻の方は押さえておくべき知識です。
イギリス大学院で環境学・開発学専攻学生が読むべき文献⑤
Piketty, T. 2014. Inequality in the long run. Science. 344(6186), pp.839-842.
環境学・開発学専攻のイギリス修士生が読むべき文献つ五つ目はトマス・ピケティ氏の論文です。おそらく皆さんピケティ氏の『21世紀の資本論』は数年前かなり話題になったので名前は知っているでしょう。本の内容のまとめのような論文です。本だと長いので4ページによくまとまっていたScience誌の論文を持ってきました。
格差の問題について書かれている文献です。グローバリズムの中で加速する格差の問題に警鐘を鳴らしており、その現状が分かりやすく描写されています。環境面の要素は薄まりますが、Sustainabilityを考えるにあたっては非常に重要な問題であり、現状の問題点をつかむのに最適な論文です。
文献はこちらから (PDFに飛びます。前半の4ページです。)
以上が私が選んだ5つの文献です。
どれもイギリス大学院で開発学や環境学を専攻していれば何回も見る文献であり、修士課程の学びの基本となる概念・理論を唱えている文献です。渡航前の勉強としていい導入になります!
これからイギリス修士課程に進学する方ぜひ読んでみてください!!
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